【2026年最新】飲食店の事業承継|居抜き売却・M&Aの違い・相場100〜3,000万円・許認可
【30秒で確認】飲食店の事業承継 業界特性早見表
飲食店の承継は「居抜き売却」と「M&A(株式・事業譲渡)」で大きく異なります。下表で特性を整理しました。
| 項目 | 居抜き売却 | M&A |
|---|---|---|
| 相場 | 100〜500万円 | 500万〜3,000万円 |
| 引継ぐもの | 設備・内装のみ | 設備+常連客+スタッフ+ブランド |
| 所要期間 | 1〜3ヶ月 | 3〜6ヶ月 |
| 許認可 | 買い手側で再取得 | 引継可能(株式譲渡時) |
| 向いてるケース | 売り手が早期撤退希望 | 事業継続・ブランド価値ある店 |
📌 飲食店M&A最大の落とし穴:賃貸契約のオーナー承諾。勝手に承継すると賃貸借契約違反となるため、必ず事前確認が必要です。
👉 関連記事:カフェの事業承継 / 個人M&A成功事例 / M&Aマッチングサイト
「飲食店を30年続けてきたけれど、もう体力的に限界…」
「子どもは別の仕事をしている。後継者がいないまま閉店するしかないのか」
「お店を売れるとしたら、いくらになる?居抜き売却とM&Aの違いは?」
飲食業界は後継者不在率が全業種で最も高く、廃業数も毎年トップクラスです。中小企業庁の調査によると、60代以上の飲食店経営者のうち約7割が「後継者が決まっていない」と回答しています。
しかし、廃業以外にも選択肢はあります。近年は飲食店専門のM&A仲介・マッチングサービスが増え、店舗を残しながらオーナーが引退できる道が広がっています。
この記事では、飲食店の事業承継について以下のことが分かります。
- 居抜き売却・事業譲渡・M&Aの違いと選び方
- あなたの店舗がいくらで売れるかの目安
- スタッフ・常連客・物件オーナーへの対応
- 飲食店特有の手続き(酒類販売免許・食品衛生・リース)
- おすすめの相談先・マッチングサービス
「お店を残したい」「廃業コストを払いたくない」「老後資金を確保したい」と考える飲食店オーナーの方は、最後までお読みください。
飲食店の事業承継・売却が増えている3つの理由
1. 経営者の高齢化と後継者不足が深刻
飲食業界の経営者平均年齢は60代に到達しています。子どもや親族に飲食業を継がせたい人が減り、深夜労働や肉体労働を伴う飲食業を「継がせたくない」「継ぎたくない」というケースが急増。後継者不在率は全業種ワーストです。
2. 廃業コストの高騰
飲食店の廃業には、原状回復費・廃棄処分費・退職金などで300〜800万円のコストが発生します。スケルトン戻しが必要な賃貸物件では、コストが1,000万円を超えるケースも。「廃業のほうが高くつく」現実から、売却・承継への注目が高まっています。
3. 飲食店M&A市場の活性化
BATONZ・TRANBI・店舗そのままオークションといった飲食店M&A・居抜き売却の専門サービスが普及。仲介手数料が成約時のみで、数万円〜数十万円から始められるようになりました。
個人経営の小規模店舗でも、現実的にM&Aが選択肢になる時代です。
飲食店オーナーの4つの選択肢
飲食店オーナーが取れる選択肢は、大きく4つあります。それぞれメリット・デメリットを把握しましょう。
選択肢1: 居抜き売却(店舗設備のみ譲渡)
厨房設備・内装・テーブル・椅子などの「物件と設備」だけを売る方法です。屋号・スタッフ・顧客リストは引き継がず、買い手が新しい飲食店を始めます。
- 譲渡対価:50万円〜300万円程度(設備の状態次第)
- 準備期間:1〜3ヶ月(最も短い)
- 向いている店舗:個人店、特殊な業態でない店舗
選択肢2: 事業譲渡・M&A(店舗ごと事業を引き継ぐ)
店舗・設備・スタッフ・顧客・屋号・レシピなど、事業まるごとを買い手に譲渡する方法です。常連客や売上もそのまま引き継がれるため、設備のみの居抜き売却より高値になります。
- 譲渡対価:300万円〜数千万円
- 準備期間:6〜12ヶ月
- 向いている店舗:固定客のついた人気店、複数店舗を持つ事業者
選択肢3: 親族・従業員への承継
息子・娘・配偶者・長年勤めたスタッフに店舗を引き継ぐ方法です。味・接客・お店の雰囲気を残せるのが最大のメリット。ただし、後継者の確保と育成期間が必要です。
- 譲渡対価:相続・贈与、またはMBO形式
- 準備期間:3〜10年
- 向いている店舗:家族経営、長年勤めたスタッフがいる店
選択肢4: 廃業(最後の選択肢)
後継者も買い手も見つからない場合の最終手段。前述のとおり、原状回復費・廃棄処分費で300〜800万円のコストがかかるため、できれば避けたい選択肢です。
4つの選択肢の比較表
| 選択肢 | 準備期間 | 得られる対価 | 店舗の継続性 |
|---|---|---|---|
| 居抜き売却 | 1〜3ヶ月 | 50〜300万円 | ×(屋号は変わる) |
| 事業譲渡・M&A | 6〜12ヶ月 | 300万〜数千万円 | ○(事業継続) |
| 親族・従業員承継 | 3〜10年 | 相続・贈与 | ◎(味・雰囲気が残る) |
| 廃業 | 3〜6ヶ月 | マイナス300〜800万円 | ×(消滅) |
飲食店の店舗価値はいくら?算定方法と相場
居抜き売却の価格算定
居抜き売却は「設備・内装の残存価値」+「物件の人気度」で価格が決まります。
- 厨房設備(5年以内):50〜150万円
- 内装(3年以内):50〜200万円
- 立地プレミアム(駅近・路面店):50〜100万円上乗せ
事業譲渡・M&Aの価格算定
事業譲渡では「営業利益×年数(年買法)」+「資産価値」で算定するのが一般的です。
計算式:評価額 = 直近3年の平均営業利益 × 2〜4年分 + 資産価値
例えば年間営業利益500万円の繁盛店なら、1,000万〜2,000万円での売却が期待できます。
飲食店の売却相場(業態別)
| 業態 | 居抜き売却相場 | M&A相場(年商1億円以下) |
|---|---|---|
| 個人居酒屋 | 50〜200万円 | 300〜1,500万円 |
| カフェ・喫茶店 | 80〜250万円 | 500〜2,000万円 |
| ラーメン店 | 100〜300万円 | 500〜3,000万円 |
| レストラン(席数30以上) | 200〜500万円 | 1,000万〜5,000万円 |
| 複数店舗チェーン | — | 5,000万〜数億円 |
飲食店の売却価格を上げる5つのコツ
- 収支の透明化:3年分の売上・経費を月次でクリーンに整理
- 常連客の数値化:会員カード・ポイント制で「リピーター数」を見える化
- SNS・口コミの整備:食べログ・Googleマップ評価を3.5以上に
- 厨房設備の更新:故障している機器の修理・買い換え
- マニュアル化:レシピ・営業手順・接客ルールの文書化
飲食店M&Aの流れ|7ステップ
STEP1: 売却方針を決める(1ヶ月)
「居抜きで早く売る」「M&Aで高く売る」「親族承継で残す」のどれを選ぶか決めます。引退後のライフプラン・希望時期から逆算しましょう。
STEP2: 店舗価値の簡易査定(2週間)
マッチングサイトの無料簡易査定を利用して、自店舗の相場を把握します。複数のサービスから査定を取ると、相場感が掴めます。
STEP3: 物件オーナー(家主)への事前相談(2週間)
飲食店M&Aで最も重要な手続きの一つです。賃貸物件の引き継ぎには家主の承諾が必須。家主が承継に否定的な場合、買い手が見つかっても契約成立しません。早めの相談がカギです。
STEP4: マッチングサイトに登録 or 仲介会社へ依頼(1週間)
BATONZ・TRANBI・店舗そのままオークションなどに登録します。匿名で案件を掲載できるため、取引先や常連客に知られる心配はありません。
STEP5: 買い手探しと面談(3〜6ヶ月)
問い合わせのあった候補者と、来店観察 → 面談 → 条件交渉と進めます。「本気度」「業態への理解」「資金力」の3点で買い手を見極めましょう。
STEP6: 基本合意・デューデリジェンス(1〜2ヶ月)
条件が合う買い手と基本合意契約を結び、買い手側が財務・法務・衛生面のチェックを行います。飲食店特有のチェック項目として、保健所への届出状況・食品衛生責任者・防火管理者の確認も入ります。
STEP7: 最終契約・引き渡し(1ヶ月)
事業譲渡契約を結び、譲渡対価を受け取ります。同時に各種許認可の名義変更(営業許可・酒類販売免許・深夜酒類提供届出など)を進めます。
飲食店M&Aで気をつけるべき5つの落とし穴
落とし穴1: 物件オーナーの承諾を得ていない
飲食店M&Aで最多のトラブル原因。賃貸契約書に「譲渡禁止条項」が入っているケースが多く、家主の承諾なしに事業譲渡すると契約解除のリスクがあります。必ず最初に家主と相談しましょう。
落とし穴2: スタッフへの伝達タイミングを誤る
早すぎるとスタッフの離職、遅すぎると不信感を招きます。基本合意後、デューデリジェンス前後がベストタイミング。雇用条件の維持を契約で約束させ、スタッフの不安を解消しましょう。
落とし穴3: 酒類販売免許・営業許可の名義変更漏れ
飲食店営業許可は事業譲渡では引き継がれない(個人事業主の場合)ため、買い手が新規取得が必要です。深夜酒類提供届出・食品衛生責任者などの届出も同様。手続き漏れがあると営業停止のリスクがあります。
落とし穴4: リース契約の引き継ぎを忘れる
厨房機器・冷蔵設備・POSレジなどがリース契約の場合、リース会社の承諾が必要です。引き継ぎできない場合は中途解約金が発生するため、事前確認が必須です。
落とし穴5: 食材・酒類在庫の評価でモメる
譲渡時点の在庫の評価額で買い手と揉めるケースが頻発します。譲渡日前1週間で在庫を絞るか、契約書で評価方法を明記しておくとトラブルを防げます。
飲食店M&Aの成功事例3選
事例1: 個人居酒屋を1,200万円で売却したAさん(68歳)
東京下町で30年続けた個人居酒屋のAさん。子どもが継がず、廃業を考えていましたがマッチングサイトに登録。常連客のついた繁盛店として評価され、独立希望のサラリーマンに1,200万円で売却。引退後の生活資金を確保できました。
事例2: カフェチェーン3店舗を5,000万円で売却したBさん(55歳)
関西で3店舗のカフェを経営していたBさん。健康問題で早期引退を決断し、M&A仲介会社に依頼。大手外食チェーンへ5,000万円で事業譲渡。スタッフ全員の雇用も継続され、店舗ブランドも残りました。
事例3: ラーメン店を従業員に300万円でMBO譲渡したCさん(62歳)
地方都市のラーメン店を15年経営したCさん。10年勤続のスタッフDさんを後継者に指名し、MBO形式で300万円で譲渡。Dさんは日本政策金融公庫の融資で資金を調達。Cさんは譲渡後も顧問として週2日関与し、味とお店を残せました。
飲食店オーナーにおすすめの相談先・サービス
1. 公的な無料相談窓口
- 事業承継・引継ぎ支援センター:全国47都道府県に設置、無料相談
- 商工会議所・商工会:経営相談・税務相談
- 日本政策金融公庫:後継者育成・買い手側の融資相談
2. 飲食店向けM&Aマッチングサイト
- BATONZ(バトンズ):飲食店案件多数、成約時手数料2%〜
- TRANBI(トランビ):個人M&A向け、月額制
- 店舗そのままオークション:飲食店特化、居抜き売却に強い
3. 飲食店専門のM&A仲介会社
飲食業界の事情に精通したM&A仲介会社も増えています。手数料は成約価格の5〜10%と高めですが、業界知識・買い手ネットワークが豊富で、適正価格での売却が期待できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 売却にはどのくらいの期間がかかる?
A. 居抜き売却なら1〜3ヶ月、M&Aによる事業譲渡なら6〜12ヶ月が目安です。買い手探しが順調に進めば短縮できますが、家主との交渉やDDで時間がかかるケースもあります。
Q. 赤字の店でも売れる?
A. はい、可能です。赤字店でも立地・物件・設備に魅力があれば居抜き売却で買い手が見つかります。ただし価格は低めになり、事業譲渡(M&A)よりも居抜き売却が現実的な選択肢です。
Q. 家主が事業譲渡に反対したらどうする?
A. 残念ながら家主の意向は強力です。代替案として「買い手が新規賃貸契約を結び直す」形にすれば、家主は新しいテナントとして審査・契約できるため承諾されやすくなります。
Q. 営業許可は買い手に引き継げる?
A. 個人事業主の場合は引き継ぎ不可。買い手は新たに保健所へ営業許可を申請する必要があります。法人化している場合は、株式譲渡なら許可も承継されます。
Q. 売却した後も働き続けられる?
A. はい。「アドバイザー」「料理長」「常勤スタッフ」などの形で譲渡後も関与する契約が可能です。引き継ぎ期間として6ヶ月〜1年程度勤務するケースが多くあります。
まとめ|飲食店オーナーが今すぐやるべき第一歩
飲食店の事業承継には、廃業以外にも複数の選択肢があります。居抜き売却ならスピード重視で50〜300万円、M&Aなら時間をかけて1,000万円超と、ニーズに応じた使い分けが可能です。
事業承継を検討するなら、今すぐ以下の3つから始めましょう。
- 店舗価値の簡易査定:マッチングサイトで無料査定
- 家主との事前相談:賃貸契約上の譲渡可否を確認
- 事業承継・引継ぎ支援センターに相談:無料の公的窓口を活用
飲食店の承継は準備が早いほど有利です。引退時期から逆算して、6〜12ヶ月の余裕を持って動き出しましょう。
関連記事
- 美容室の事業承継|オーナーチェンジで失敗しない手順と相場(業種別の比較)
- M&Aマッチングサイトおすすめ7選
- M&Aの手数料相場一覧
- 事業価値評価(バリュエーション)の3つの算定方法
- 従業員承継(MBO)とは?
- 事業承継の相談先おすすめ7選
- IT企業の事業承継|SaaS・受託・SES業態別の売却相場(業種別の比較:IT業界)
- 建設業の事業承継|建設業許可の引き継ぎとM&A成功のコツ・相場(業種別の比較:建設業)
- 不動産会社の事業承継|宅建免許の引き継ぎとM&A成功のコツ・相場(業種別の比較:不動産業)
- 介護事業所の事業承継|指定の引き継ぎとM&A成功のコツ・相場(業種別の比較:介護業)
- クリニック・診療所の事業承継|医療法人M&A成功のコツ・相場(業種別の比較:医療業)
- 運送業の事業承継|2024年問題下のM&A成功のコツ・相場(業種別の比較:運送業)
- 学習塾・教育事業の事業承継|業態別M&A相場と成功のコツ(業種別の比較:教育業)
- 調剤薬局の事業承継|大手チェーンへのM&A成功のコツ・相場(業種別の比較:調剤薬局)
- 歯科医院の事業承継|診療所開設者交代とM&A成功のコツ・相場(業種別の比較:歯科医院)
- 株式譲渡 vs 事業譲渡|税務・許認可・従業員継承の違いを完全比較(M&A手法選択の基礎)
- ペットショップ・動物病院の事業承継|許認可・獣医師資格の引き継ぎとM&A成功のコツ(業種別の比較:ペット業界)
- カフェ・コーヒーショップの事業承継|個人M&A・売却相場・許認可引き継ぎ完全ガイド(業種別の比較:カフェ)
- 美容クリニック・エステサロンの事業承継|EBITDA倍率・PEファンドM&A成功のコツ(業種別の比較:美容医療)
- 葬儀社の事業承継|互助会前受金・葬祭ディレクター継承とM&A成功のコツ(業種別の比較:葬儀業)
- 整骨院・整体院の事業承継|柔道整復師資格・受領委任払の引き継ぎとM&A成功のコツ(業種別の比較:整骨・整体)
- 税理士事務所・会計事務所の事業承継|顧問先・所員の引き継ぎとM&A成功のコツ(業種別の比較:士業)