事業承継に強い税理士の選び方|チェックポイント5つと費用相場をわかりやすく解説
「事業承継の税金対策、顧問税理士に相談したけど反応がいまいちだった…」
「事業承継税制を使いたいけど、うちの税理士は詳しくなさそう」
「相続税や贈与税の対策をしっかりやってくれる税理士を探したいけど、どうやって選べばいいの?」
事業承継は、多くの経営者にとって人生で一度きりの大仕事です。しかし、その税務面を支える税理士選びに失敗すると、数百万円〜数千万円単位の損失につながることがあります。
中小企業庁の調査によると、後継者が決定した企業の72.9%が顧問の公認会計士・税理士に事業承継の相談をしています。つまり、税理士は事業承継における最も身近で重要なパートナーなのです。
この記事では、事業承継に強い税理士の選び方を、チェックすべき5つのポイントと費用の相場、そして「選んではいけない税理士」の見分け方まで、実践的に解説します。
この記事でわかること
- 事業承継で税理士に依頼できること・できないこと
- 事業承継に強い税理士を見極める5つのチェックポイント
- 税理士報酬の相場(自社株評価・税制適用・M&A支援)
- 顧問税理士と事業承継専門税理士の使い分け方
- 税理士を無料で探す方法
事業承継で税理士に依頼できること
税理士は「税務の専門家」というイメージが強いですが、事業承継においては税務以外にも幅広い業務を担います。具体的に見ていきましょう。
① 自社株の評価
非上場企業の株式は市場価格がないため、専門的な計算が必要です。税理士は「類似業種比準方式」「純資産価額方式」などを用いて、正確な株価を算出します。この評価額が、贈与税・相続税の基礎になります。
② 贈与税・相続税の対策と申告
事業承継で最も大きな課題の一つが税負担です。税理士は、生前贈与の計画立案、事業承継税制の適用申請、相続発生時の申告まで一貫して対応します。特に事業承継税制を活用すれば、贈与税・相続税が実質ゼロになる可能性があります。
③ 株価の引き下げ対策
自社株の評価額が高すぎると、後継者への移転時に多額の税金が発生します。税理士は、役員退職金の活用、不動産投資、組織再編など、合法的な株価引き下げ策を提案し、税負担を最小化します。
④ 承継方法・タイミングのアドバイス
親族内承継、従業員承継、M&Aのどれが最適か。いつ始めるべきか。税理士は税負担の観点から、最も有利な方法とタイミングを助言します。特に顧問税理士であれば、会社の財務状況を熟知しているため、的確なアドバイスが期待できます。
⑤ 他の専門家との連携
事業承継は税務だけで完結しません。法務(弁護士)、登記(司法書士)、社会保険(社労士)など、複数の専門家の協力が必要です。事業承継に強い税理士は、こうした専門家とのネットワークを持ち、全体のコーディネーターとして動いてくれます。
事業承継に強い税理士を見極める5つのチェックポイント
すべての税理士が事業承継に詳しいわけではありません。日本には約8万人の税理士がいますが、事業承継を専門的に扱える税理士は一部です。以下の5つのポイントで見極めましょう。
チェック① 事業承継の支援実績があるか
最も重要なのは実績です。「事業承継の相談を受けたことがある」レベルではなく、実際に株価評価から税制適用、申告まで一貫して手がけた経験があるかどうかを確認しましょう。
確認する質問例:
- 「事業承継の支援を年間何件くらい手がけていますか?」
- 「事業承継税制の適用を支援した実績はありますか?」
- 「過去に手がけた事例で、どの程度の節税効果がありましたか?」
チェック② 認定経営革新等支援機関に登録されているか
事業承継税制の特例措置を利用するためには、「特例承継計画」を策定する必要があり、その策定には認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の指導・助言が必要です。
税理士が認定支援機関に登録されていれば、事業承継税制の手続きをワンストップで進められます。登録の有無は中小企業庁のWebサイトで検索できます。
チェック③ 自社株評価の経験が豊富か
非上場株式の評価は非常に専門的な作業です。「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「配当還元方式」など、会社の状況に応じて適切な方法を選択できる経験が求められます。
税理士によって評価額が大きく異なることがあり、それが税額に直結します。自社株評価の経験が少ない税理士に依頼すると、本来より高い税金を支払うリスクがあります。
チェック④ 他の士業とのネットワークがあるか
事業承継は税務だけで完結しません。定款変更や株主総会の手続き(弁護士・司法書士)、不動産の名義変更(司法書士)、社会保険の手続き(社労士)など、複数の専門家との連携が必要です。
弁護士・司法書士・社労士などのネットワークを持つ税理士であれば、自分で各専門家を探す手間が省けます。
チェック⑤ 長期的なサポート体制があるか
事業承継は5年〜10年の長期プロジェクトです。株価対策から始まり、贈与・相続の実行、事業承継税制の継続届出まで、長期間にわたるサポートが必要です。
「単発の相談」ではなく、承継完了まで伴走してくれる税理士を選びましょう。特に事業承継税制を利用する場合、適用後も都道府県への報告や税務署への届出が継続的に必要になります。
事業承継の税理士報酬の相場
事業承継における税理士の報酬は、業務内容と会社の規模によって大きく異なります。以下は一般的な相場です。
| 業務内容 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 初回相談 | 無料〜1万円 | 無料相談を実施している事務所も多い |
| 自社株評価 | 15万〜50万円 | 会社の規模・複雑さにより変動 |
| 事業承継税制の適用支援 | 30万〜100万円 | 特例承継計画の策定から申告まで |
| 相続税・贈与税の申告 | 遺産総額の0.5〜1.0% | 遺産1億円なら50万〜100万円が目安 |
| 株価引き下げ対策のコンサル | 30万〜200万円 | 対策の複雑さ・期間によって変動 |
| M&Aの税務デューデリジェンス | 50万〜300万円 | 対象企業の規模による |
「高い」と感じるかもしれませんが、事業承継で発生する税金は数千万円〜数億円になることもあります。適切な税理士に依頼することで、報酬の何倍もの節税効果が得られるケースが一般的です。
費用を抑えたい場合のポイント:
- まずは無料相談を活用して複数の税理士を比較する
- 事業承継補助金を活用すれば、専門家費用の一部を補助してもらえる場合がある
- 顧問契約を結ぶことで、個別案件の報酬を抑えられることがある
「選んではいけない」税理士の3つの特徴
❌ 事業承継税制について「よく知らない」と言う
事業承継税制は2018年に大幅改正されており、改正内容を把握していない税理士は事業承継の専門性が低い可能性があります。特例措置の計画提出期限なども把握していない場合は、別の税理士を検討した方がよいでしょう。
❌ 「うちでは対応できない」と言うだけで代替案を示さない
顧問税理士に事業承継の相談をした際、「うちでは難しい」とだけ言って終わるケースがあります。本来であれば、事業承継に強い税理士や専門機関を紹介するのがプロの対応です。
❌ 特定の金融商品やスキームばかり勧めてくる
中立的な立場で複数の選択肢を提示するのではなく、特定の保険商品や投資スキームばかり提案する税理士は、手数料目的の可能性があります。税理士は経営者の利益を最優先に考えるべきです。
顧問税理士と事業承継専門税理士の使い分け
「顧問税理士がいるのに、別の税理士に依頼するのは気まずい…」と感じる方も多いと思います。しかし、顧問税理士と事業承継専門税理士は役割が異なるため、併用することに問題はありません。
| 顧問税理士 | 事業承継専門税理士 | |
|---|---|---|
| 得意分野 | 日常の税務申告・記帳代行 | 自社株評価・税制適用・組織再編 |
| 会社の理解 | ◎ 長年の付き合いで熟知 | △ 初見から理解する必要あり |
| 事業承継の経験 | △ 少ないことが多い | ◎ 豊富な実績 |
| 他の士業との連携 | △ 限定的なことが多い | ◎ 弁護士・司法書士等とチーム体制 |
おすすめの使い分け方:
- 日常の経理・税務 → 顧問税理士に継続して依頼
- 事業承継の計画策定・実行 → 事業承継専門税理士に依頼
- 両者の間で情報共有しながら進めるのがベスト
顧問税理士との関係を壊したくない場合は、「セカンドオピニオン」という形で相談するのも一つの方法です。
事業承継に強い税理士を探す方法
方法① 税理士紹介サービスを利用する(おすすめ)
最も効率的なのが、税理士紹介サービスの活用です。希望条件(地域・業種・予算など)を伝えるだけで、事業承継に強い税理士を無料で紹介してもらえます。自分で一件ずつ探す手間が省け、相性が合わなければ別の税理士を再紹介してもらうことも可能です。
方法② 事業承継・引継ぎ支援センターに相談する
全国47都道府県に設置された公的な相談窓口です。事業承継全般の相談に無料で対応してくれるだけでなく、地域の事業承継に詳しい税理士を紹介してもらえることもあります。詳しくは「事業承継の相談先7選」をご覧ください。
方法③ 商工会議所・金融機関に紹介してもらう
地域の商工会議所や取引先の金融機関にも、事業承継に強い税理士とのネットワークがあります。特に地方の中小企業にとっては、地元の事情に詳しい税理士を紹介してもらえるメリットがあります。
よくある質問
Q. 顧問税理士に事業承継を相談してもいい?
もちろんです。まずは顧問税理士に相談するのが自然な流れです。ただし、事業承継の経験が少ない場合は、セカンドオピニオンとして事業承継専門の税理士にも相談することをおすすめします。
Q. 事業承継の相談は何年前から始めるべき?
理想は10年前から。遅くとも5年前には具体的な計画を策定すべきです。株価引き下げ対策は効果が出るまでに数年かかることがあるため、早ければ早いほど選択肢が広がります。
Q. 税理士への相談費用はいくら?
初回相談は無料としている事務所が多いです。税理士紹介サービスを利用すれば、紹介料も無料です。まずは費用をかけずに相談してから、依頼するかどうかを判断できます。
Q. M&Aの場合も税理士が必要?
必要です。M&Aでは税務デューデリジェンス(買収先の税務リスク調査)や、譲渡益にかかる税金の計算、最適なスキーム設計など、税理士の専門知識が不可欠です。M&Aの全体像については「M&Aによる事業承継の流れ」をご覧ください。
まとめ
事業承継における税理士選びは、承継の成否を左右する重要な決断です。ポイントをおさらいすると:
- 税理士は自社株評価・税制適用・節税対策など、事業承継の税務全般をサポートできる
- すべての税理士が事業承継に強いわけではない。実績・認定支援機関登録・自社株評価の経験を基準に選ぶ
- 顧問税理士と事業承継専門税理士は役割が異なり、併用するのがベスト
- 報酬は決して安くないが、適切な税理士に依頼すれば報酬の何倍もの節税効果が期待できる
- 税理士紹介サービスを使えば、無料で最適な税理士を紹介してもらえる
「事業承継の税金が心配」「どの税理士に頼めばいいかわからない」という方は、まず無料相談から始めてみてください。行動するのが早ければ早いほど、選択肢は広がります。
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