事業承継で使える補助金・支援制度まとめ|費用の不安を解消する公的サポート
「事業承継にはお金がかかるらしいけど、何か使える支援制度はないの?」
「補助金があるって聞いたけど、種類が多くてどれが自分に当てはまるのかわからない」
「申請が難しそうで、結局あきらめてしまった…」
事業承継を進めるには、専門家への報酬、設備投資、M&A仲介手数料など、さまざまな費用がかかります。特に中小企業にとって、これらの費用負担は大きなハードルです。
しかし、国や自治体は事業承継を後押しするために、補助金や支援制度を数多く用意しています。知っているかどうかで、数百万円〜数千万円の差がつくこともあります。
この記事では、事業承継で活用できる補助金・支援制度を体系的にわかりやすく解説します。
📌 この記事でわかること
- 事業承継・M&A補助金の4つの申請枠と補助額
- 申請の流れと押さえるべきポイント
- 補助金以外の公的支援制度(事業承継税制、センター相談など)
- 自分に合った支援制度の選び方
事業承継・M&A補助金とは?——最も代表的な補助金制度
「事業承継・M&A補助金」は、事業承継やM&Aを行う中小企業を支援するための国の補助金制度です。令和6年度補正予算では「中小企業生産性革命推進事業」(予算規模3,400億円)の一環として実施されています。
この補助金には4つの申請枠があり、事業承継の形態や段階に応じて使い分けることができます。
| 申請枠 | 対象 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 親族内・従業員承継で設備投資を行う企業 | 800万円 | 2/3以内 |
| 専門家活用枠 | M&Aの仲介・FA費用を使う企業 | 600万円 | 2/3以内 |
| PMI推進枠 | M&A後の経営統合を進める企業 | 2,000万円 | 2/3以内 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 廃業して再出発する事業者 | 150万円 | 2/3以内 |
※補助上限額・補助率は公募回によって変更される場合があります。必ず最新の公募要領をご確認ください。
4つの申請枠を詳しく解説
①事業承継促進枠——親族・従業員に引き継ぐ場合の設備投資を支援
親族内承継や従業員承継を予定している中小企業が、承継を契機に行う設備投資にかかる費用を補助する枠です。
対象経費の例としては、設備投資費用、店舗や事務所の改築工事費用などがあります。
申請のポイントは以下のとおりです。
- 公募申請から5年以内に事業承継を完了することが条件
- 承継によって引き継ぐ経営資源を活用した生産性向上の取り組みであること
- 所有権と経営権の双方が移転していることが前提
「父から会社を引き継ぐタイミングで、工場の設備を入れ替えたい」といったケースに最適です。
②専門家活用枠——M&Aの仲介手数料を補助
M&A(第三者への事業売却)を行う際に、仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)への報酬など、専門家費用の一部を補助する枠です。
買い手側・売り手側の双方が対象で、それぞれ「買い手支援類型」「売り手支援類型」に分かれています。
主な対象経費は以下のとおりです。
- M&A仲介手数料・FA手数料
- デューデリジェンス(財務・法務調査)費用
- その他M&Aの実行に必要な専門家費用
M&Aの費用負担が心配な中小企業にとって、非常に心強い制度です。
③PMI推進枠——M&A後の経営統合を支援(最大2,000万円)
2025年度に新設された注目の枠です。M&A成立後の経営統合(PMI:Post-Merger Integration)にかかる費用を支援します。
「専門家活用類型」と「事業統合投資類型」の2つの類型があり、PMIの段階に応じて選択します。
- 専門家活用類型:PMIに関わるコンサルタントや専門家の費用を補助
- 事業統合投資類型:統合効果を最大化するための設備投資等を補助
補助上限額が最大2,000万円と他の枠より大きいのが特徴です。
④廃業・再チャレンジ枠——廃業費用の一部を支援
M&Aで事業を譲り渡せなかった場合や、計画的に廃業して新たな挑戦を目指す場合に、廃業にかかる費用の一部を補助する枠です。
対象経費には廃業登記費、在庫処分費、原状回復費などが含まれます。
他の枠(事業承継促進枠・専門家活用枠など)との併用も可能な点が大きなポイントです。
申請の流れ——5つのステップ
事業承継・M&A補助金の申請は、すべて電子申請(jGrants)で行います。
ステップ1:GビズIDプライムアカウントの取得
申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。取得には1〜3週間かかるため、早めに準備しましょう。
ステップ2:公募要領の確認
公募ごとに要件や対象経費が異なります。最新の公募要領を必ず確認してください。
ステップ3:事業計画書の作成・申請
事業計画書を作成し、jGrantsから申請します。計画書では、事業承継の必要性、取り組み内容、期待される効果などを具体的に記載します。
ステップ4:採択通知・交付申請
審査を経て採択が決定されたら、交付申請を行います。
ステップ5:事業実施・実績報告
補助事業を実施し、完了後に実績報告書を提出します。補助金は実績報告後に交付されます(後払い)。
採択率は公募回によって異なりますが、直近の13次公募では全体で約61%(481件中293件採択)となっています。
補助金以外の支援制度も活用しよう
事業承継・M&A補助金だけでなく、事業承継には他にもさまざまな公的支援制度があります。
事業承継税制(特例措置)
後継者が自社株を取得する際の贈与税・相続税が全額猶予・免除される制度です。特例承継計画の提出期限が迫っており、早めの対応が必要です。
詳しくは「事業承継税制とは?特例措置の仕組み・要件・期限をわかりやすく解説」をご覧ください。
事業承継・引継ぎ支援センター
国が全国47都道府県に設置する無料の相談窓口です。事業承継の計画策定支援、第三者マッチング、専門家紹介などを受けられます。
詳しくは「事業承継の相談先7選」で紹介しています。
小規模事業者持続化補助金
事業承継に特化した制度ではありませんが、「後継者支援枠」が設けられており、事業承継を契機とした販路開拓等の取り組みに活用できます。
自治体独自の補助金・助成金
都道府県や市区町村が独自に設けている事業承継関連の補助金もあります。たとえば東京都では、事業承継を契機とした新規事業展開を支援する助成金(上限800万円)が用意されています。
お住まいの地域の商工会議所や自治体のWebサイトで確認してみてください。
自分に合った支援制度の選び方
「結局、自分はどの制度を使えばいいの?」という方のために、状況別におすすめの支援制度を整理しました。
| あなたの状況 | おすすめの支援制度 |
|---|---|
| 親族・従業員に承継+設備投資したい | 事業承継促進枠 + 事業承継税制 |
| M&Aで会社を売却したい | 専門家活用枠 + 事業承継・引継ぎ支援センター |
| M&A後の統合をスムーズに進めたい | PMI推進枠 |
| 後継者が見つからず廃業を検討中 | 廃業・再チャレンジ枠 |
| まだ何も決まっていない | 事業承継・引継ぎ支援センター(無料相談) |
複数の制度を併用できるケースも多いので、1つに絞らず組み合わせて活用することを検討しましょう。
まとめ
この記事では、事業承継で活用できる補助金・支援制度を解説しました。
ポイントをおさらいすると:
- 事業承継・M&A補助金は4つの枠があり、最大2,000万円まで補助される
- 申請はすべて電子申請(jGrants)で行い、GビズIDの事前取得が必要
- 補助金以外にも事業承継税制や無料相談窓口など、活用すべき制度は多い
- 公募は年に複数回実施されるため、最新の公募情報を定期的にチェックすることが大切
事業承継にかかる費用が心配で一歩を踏み出せない——そんな経営者こそ、これらの支援制度を最大限に活用してください。
まずは事業承継・引継ぎ支援センターの無料相談で、自社に使える制度を確認するところから始めてみましょう。
📖 あわせて読みたい
- 事業承継とは?3つの方法をわかりやすく解説
- 事業承継の進め方がわかる!基本の5ステップを解説
- 後継者がいないときの4つの選択肢
- 事業承継税制とは?特例措置の仕組み・要件・期限をわかりやすく解説
- 事業承継の相談先7選|悩み別に最適な専門家・機関の選び方を解説
- M&Aマッチングサイトおすすめ7選
- 個人M&A・スモールM&Aとは?
事業承継の税務相談なら
事業承継では、税理士選びが成功のカギを握ります。相続税・贈与税の対策、事業承継税制の活用、M&Aの税務デューデリジェンスなど、専門的な知識が必要な場面が多くあります。
「どの税理士に相談すればいいかわからない…」そんな方には、無料で最適な税理士を紹介してもらえるサービスがおすすめです。
事業承継後の会計管理に
事業承継後は、経理体制の見直しも重要です。クラウド会計ソフトを導入すれば、経理業務の効率化とコスト削減を同時に実現できます。