個人M&Aの資金調達方法|自己資金・融資・補助金を活用して会社を買う方法
資金調達の成功事例
事例:元営業マンが自己資金300万円で飲食店を買収
Aさん(35歳・会社員)は、自己資金300万円で譲渡価格800万円の居酒屋を買収しました。不足する500万円は日本政策金融公庫の創業融資を利用。事業計画書では、自身の営業経験を活かした集客戦略と、前オーナーが3ヶ月間引き継ぎに協力する体制をアピールしました。
融資審査のポイントとなったのは、①自己資金比率が約40%と十分だったこと、②前オーナーの引き継ぎ期間が確保されていたこと、③直近3年の確定申告で安定した収入があったこと。申し込みから融資実行まで約3週間でした。
資金調達方法の比較表
個人M&Aで使える主な資金調達方法を比較すると以下の通りです。
- 日本政策金融公庫:金利1〜3%、融資限度額7,200万円(創業融資)、審査期間2〜4週間、無担保・無保証人で利用可能
- 民間銀行(プロパー融資):金利1〜4%、融資額は事業規模による、審査期間1〜2ヶ月、原則として担保・保証人が必要
- 信用保証協会付き融資:金利1〜3%、保証料0.5〜2%が別途必要、審査期間1〜2ヶ月
- 事業承継・引継ぎ補助金:返済不要(補助率2/3、上限600万円)、ただし事後精算型で立て替えが必要
よくある質問(FAQ)
Q. 会社員のまま融資を受けられますか?
日本政策金融公庫の創業融資は、会社員が退職前に申し込むことも可能です。ただし、融資実行時点で事業に専念できる体制が求められるケースが多いです。副業として買収する場合は、別途相談が必要です。
Q. 自己資金はどのくらい必要ですか?
一般的に、譲渡価格の3分の1程度の自己資金があると融資審査で有利になります。ただし、事業計画の内容や個人の信用力によっては、自己資金比率が低くても融資が通るケースもあります。
「会社を買いたいけど、資金はどうすればいい?」
「個人でもM&Aの融資を受けられるの?」
「使える補助金や支援制度はある?」
個人M&Aで会社や事業を買収するとき、最大のハードルのひとつが資金調達です。数百万円〜数千万円の買収資金をすべて自己資金で賄うケースは少なく、融資や支援制度の活用が現実的な選択肢になります。
この記事では、個人M&Aにおける資金調達の方法を、自己資金・融資・補助金の3つに分けて解説します。
個人M&Aにはいくら必要か
個人M&Aの買収金額は案件によって幅がありますが、M&Aマッチングサイトに掲載されている小規模案件では数百万円〜3,000万円程度が中心です。これに加えて、仲介手数料やデューデリジェンス費用、運転資金なども必要になります。
買収価格だけでなく、買収後の運転資金も見込んでおくことが重要です。最低でも3〜6カ月分の運転資金を手元に残しておかないと、買収直後の資金繰りに苦しむことになります。M&Aの手数料も含めた総額で資金計画を立てましょう。
資金調達の3つの方法
方法①:自己資金
自己資金は最もシンプルで確実な資金源です。返済の必要がなく、融資審査も不要なため、スピーディーにM&Aを進められます。
ただし、全額を自己資金で賄う必要はありません。むしろ、自己資金を全額投入してしまうと、買収後の運転資金が不足するリスクがあります。一般的には買収総額の3割以上を自己資金で準備し、残りを融資で賄うのが現実的です。
自己資金が多いほど融資審査でも有利になるため、個人M&Aを検討し始めたら早めに貯蓄を始めましょう。
方法②:融資(金融機関からの借入)
個人M&Aで最もよく利用される融資先は以下の3つです。
日本政策金融公庫。個人M&Aの資金調達で最も活用されている公的金融機関です。「新規開業資金」や「事業承継・集約・活性化支援資金」など、M&Aによる創業・事業承継に使える融資制度があります。無担保・無保証で最大7,200万円の融資が可能で、金利も民間銀行より低い傾向にあります。融資審査では、事業計画書の内容と自己資金の割合が重視されます。
信用金庫・地方銀行。地域密着型の金融機関は、地元企業の事業承継に積極的です。買収対象の企業がメインバンクとしている金融機関に相談するのも有効です。既存の取引関係があれば、融資審査がスムーズに進む場合があります。
信用保証協会の保証付き融資。信用保証協会が保証人となることで、民間金融機関から融資を受けやすくなります。事業承継特別保証制度を活用すれば、経営者保証なしで融資を受けられるケースもあります。
方法③:補助金・支援制度の活用
M&Aに関連する費用を補助してくれる公的制度もあります。
事業承継・引継ぎ補助金。M&Aによる事業承継を行う場合、仲介手数料やデューデリジェンス費用、設備投資費用などの一部が補助されます。補助率は2/3以内で、上限額は最大800万円です。事業承継の補助金の中でも個人M&Aに特に関連性が高い制度です。
事業承継・引継ぎ支援センター。各都道府県に設置された公的機関で、M&Aのマッチング支援や専門家の紹介を無料で受けられます。資金調達についてのアドバイスも受けられるため、まずは相談してみることをおすすめします。
融資審査を通すための5つのポイント
個人M&Aの融資審査は、通常の創業融資よりハードルが高いと感じる方もいます。審査を通すためのポイントを押さえておきましょう。
① 説得力のある事業計画書を作る
なぜその事業を買うのか、買収後どう経営するのか、収益の見通しはどうか。金融機関が納得できる事業計画書が不可欠です。買収後3〜5年の収支計画も含めて作成しましょう。
② 自己資金を十分に準備する
買収総額の3割以上の自己資金があると審査で有利です。コツコツ貯めた自己資金は「計画性がある」と評価されます。
③ 買収対象の事業の安定性を示す
対象企業の過去の業績、顧客基盤、収益構造が安定していることを資料で示しましょう。デューデリジェンスの結果を活用するのも効果的です。
④ 関連する経験・スキルをアピールする
買収する事業と関連する業界経験や専門スキルがあれば、大きなアピール材料になります。未経験の業種を買う場合は、どう補うかの計画が求められます。
⑤ 専門家のサポートを受ける
中小企業診断士や税理士に事業計画書の作成を支援してもらうことで、計画の精度が上がり、融資審査の通過率が高まります。
資金調達で注意すべき3つの落とし穴
買収価格の妥当性を確認する
「融資が通ったから買える」と安心せず、買収価格が適正かどうかを必ず確認しましょう。株価対策の知識も参考に、割高な買い物を避けることが重要です。
買収後の運転資金を確保する
買収資金に全額を使い切ってしまうのは危険です。買収直後は売上が一時的に落ち込むこともあるため、余裕のある資金計画を立てましょう。
返済計画の無理がないか確認する
融資を受ける場合、毎月の返済額が事業のキャッシュフローに対して無理のない水準かを確認しましょう。事業承継の失敗事例には、過大な借入が原因で資金繰りに行き詰まったケースもあります。
まとめ
個人M&Aの資金調達は、自己資金・融資・補助金を組み合わせて計画するのが基本です。特に日本政策金融公庫の融資制度と事業承継・引継ぎ補助金は、個人M&Aに活用しやすい制度です。
しっかりとした事業計画と十分な自己資金を準備し、専門家の力も借りながら、無理のない資金調達を進めましょう。
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