事業承継の相談先7選|悩み別に最適な専門家・機関の選び方を解説
「そろそろ会社のことを次の世代に引き継ぎたい。でも、何から始めればいいのかわからない」
「税金のこと、法律のこと、後継者探し…。相談したいけど、どこに行けばいいの?」
「事業承継を考え始めたけど、まず誰に相談すればいいの?」
事業承継は経営者にとって一生に一度の大きな判断です。税務・法務・財務・経営戦略と、必要な専門知識が多岐にわたるため、自力だけで進めるのはほぼ不可能といってよいでしょう。
しかし、相談先は税理士、弁護士、公的機関、M&A仲介会社など数多くあり、「結局どこに行けばいいのか」と迷ってしまう経営者が少なくありません。
この記事では、事業承継の主な相談先7つを取り上げ、それぞれの特徴・得意分野・費用感をわかりやすく比較します。あなたの状況に合った相談先が見つかるはずです。
📌 この記事でわかること
- 事業承継の相談先7つの特徴と得意分野
- 悩み別に「まずどこに相談すべきか」の判断基準
- 無料で相談できる公的機関の活用法
- 相談先を選ぶときの3つのチェックポイント
事業承継の相談先7選——特徴と得意分野を比較
まずは全体像を把握しましょう。事業承継の主な相談先を一覧にまとめました。
| 相談先 | 得意分野 | 費用の目安 | こんなときにおすすめ |
|---|---|---|---|
| ①事業承継・引継ぎ支援センター | 総合相談・マッチング | 無料 | まず何から始めればいいか知りたい |
| ②顧問税理士・公認会計士 | 税務・株価評価・事業承継税制 | 顧問料内〜別途報酬 | 自社株の評価額や税金が心配 |
| ③弁護士 | 法務・契約書・相続トラブル | 相談料1万円/時間〜 | 親族間のトラブルや法的手続きが不安 |
| ④M&A仲介会社 | 買い手探し・交渉・手続き代行 | 成功報酬型が多い | 第三者への売却(M&A)を検討中 |
| ⑤商工会議所・商工会 | 経営全般の相談・専門家紹介 | 無料〜低額 | 地元で気軽に相談したい |
| ⑥金融機関(銀行・信用金庫) | 資金調達・企業評価 | 無料(相談段階) | 取引のある銀行にまず話を通したい |
| ⑦経営コンサルティング会社 | 経営戦略・承継計画全体の設計 | 月額数十万円〜 | 承継前後の経営課題も含めて丸ごと任せたい |
以下、それぞれの特徴を詳しく解説します。
①事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関・無料)
国が全国47都道府県に設置している公的な相談窓口です。中小企業の事業承継を総合的にサポートする専門機関で、最初の相談先として最もおすすめです。
できること
- 事業承継に関する無料相談
- 親族内承継の計画策定支援
- 後継者不在の場合の第三者マッチング(M&A支援)
- 起業家と後継者不在企業のマッチング
メリット
- 完全無料で何度でも相談できる
- 公的機関なので、営業目的のバイアスがない
- 元税理士・公認会計士など専門知識を持つスタッフが対応
- 必要に応じて税理士・弁護士など外部専門家を紹介してくれる
デメリット
- 直接的な手続き代行はできない(あくまで相談・紹介が中心)
- 地域によってスタッフの質や対応速度に差がある
「まだ何も決まっていない」「とりあえず全体像を把握したい」という段階なら、まずここに相談するのが最善です。
②顧問税理士・公認会計士
事業承継で最も多くの経営者が相談先として選んでいるのが、日頃から付き合いのある顧問の税理士や公認会計士です。
できること
- 自社株の評価額の算定
- 事業承継税制(特例措置)の適用サポート
- 贈与税・相続税のシミュレーションと節税対策
- 特例承継計画の作成支援(認定支援機関として)
メリット
- 自社の財務状況をすでに把握しているので話が早い
- 税金面のアドバイスが的確
- 認定経営革新等支援機関に登録されていれば、特例承継計画の作成もサポートしてもらえる
デメリット
- 税理士によっては事業承継の経験が浅い場合がある
- M&Aの仲介やマッチングには対応していないことが多い
- 税務以外(法務・経営戦略など)は専門外になる
自社株の評価額を知りたい、事業承継税制を使いたいという場合は、まず顧問税理士への相談が第一歩です。
③弁護士
事業承継には法律が絡む場面が多く、弁護士の力が必要になるケースも少なくありません。
できること
- 株式譲渡契約書、事業譲渡契約書の作成・チェック
- 親族間の遺産分割トラブルへの対応
- 会社法に基づく各種手続き(定款変更、株主総会決議など)
- M&A時の法務デューデリジェンス
メリット
- 法的トラブルが発生したときに直接対応できる唯一の専門家
- 契約書のリスクを事前に洗い出せる
デメリット
- 相談料が高め(初回相談30分5,000〜10,000円が目安)
- 税務や経営戦略は専門外
- 事業承継に詳しい弁護士を見つける必要がある
親族間で意見が対立している、遺言書の作成が必要など、法的な問題が想定される場合に相談しましょう。
④M&A仲介会社
後継者が見つからず、第三者への売却(M&A)を検討している場合、M&A仲介会社が有力な相談先になります。
できること
- 自社にマッチする買い手企業の探索
- 企業価値の算定(バリュエーション)
- 売り手・買い手の条件交渉のサポート
- デューデリジェンス、契約書作成の調整
- クロージングまでの一連のプロセス管理
メリット
- M&Aに特化した豊富なネットワークとノウハウ
- 買い手候補を幅広く探せる
- 成功報酬型が多く、成約しなければ費用がかからないケースもある
デメリット
- 成功報酬が高額になることがある(譲渡額の3〜5%が相場)
- 仲介会社によって実力差が大きい
- 売り手・買い手の双方から手数料を取る「両手仲介」の場合、利益相反のリスクがある
M&Aを具体的に検討するなら、複数の仲介会社に相談して比較するのがおすすめです。
⑤商工会議所・商工会
地域の商工業者を支援する公的な経済団体です。事業承継に関する相談窓口を設けているところが多く、気軽に足を運べるのが魅力です。
できること
- 経営全般に関する無料相談
- 事業承継に関するセミナー・勉強会の開催
- 税理士・弁護士など専門家の紹介
- 事業承継に関する補助金・助成金の情報提供
メリット
- 会員であれば無料で相談できる
- 地域密着型なので、地元の事情に詳しい
- まずは情報収集したいという段階に最適
デメリット
- 直接的なM&A仲介はできない
- 紹介される専門家の選択肢が地域内に限られる場合がある
- 具体的な手続き代行はサポート外
「まだ本格的に動くかわからないけど、情報を集めたい」という段階で活用しましょう。
⑥金融機関(銀行・信用金庫)
取引のある銀行や信用金庫も、事業承継の相談先として有力です。
できること
- 事業承継に関する初期相談
- 企業価値の簡易評価
- 事業承継に必要な資金の融資
- 独自ネットワークを活用した後継者候補の紹介
メリット
- 自社の財務状況を把握しているので話が通りやすい
- 事業承継ローンなど、資金面のサポートが受けられる
- 事業承継アドバイザー資格を持つ行員がいる金融機関もある
デメリット
- 融資を前提にしたプランを提案される可能性がある
- 事業承継の専門家ではないため、アドバイスの範囲に限界がある
- 最終的には別の専門家を紹介されることが多い
すでに付き合いがある金融機関がある場合は、最初の相談先として話を通しておくとその後の手続きがスムーズです。
⑦経営コンサルティング会社
事業承継を経営課題の一部として捉え、承継前・承継中・承継後までトータルでサポートしてくれるのが経営コンサルティング会社です。
できること
- 事業承継の全体戦略の設計
- 後継者の育成プランの策定
- 承継後の経営改善・成長戦略の立案
- 必要に応じて税理士・弁護士との連携
メリット
- 税務・法務・経営を横断した総合的な支援が受けられる
- 承継後の経営課題まで見据えたアドバイスがもらえる
- 複数の専門家の調整役を担ってくれる
デメリット
- 費用が高い(月額数十万円〜が一般的)
- コンサルティング会社によって得意分野や品質に差がある
- 中小企業にとっては費用負担が大きい
「税金や法律だけでなく、承継後の経営も含めてトータルで任せたい」という場合に検討しましょう。
悩み別・最初に相談すべきはここ
「結局、自分の場合はどこに行けばいいの?」という方のために、よくある悩み別の最適な相談先を整理しました。
| あなたの悩み | まず相談すべき先 |
|---|---|
| 何から始めればいいかわからない | 事業承継・引継ぎ支援センター |
| 自社株の評価額や税金が心配 | 顧問税理士・公認会計士 |
| 親族間でもめそう・法的トラブルが心配 | 弁護士 |
| 後継者がいない・会社を売りたい | M&A仲介会社 or 事業承継・引継ぎ支援センター |
| まずは情報収集だけしたい | 商工会議所 or 事業承継・引継ぎ支援センター |
| 承継後の経営も含めて全部任せたい | 経営コンサルティング会社 |
迷ったら、まず事業承継・引継ぎ支援センターに相談するのが最も安全です。無料で、公平な立場からアドバイスをもらえ、必要に応じて適切な専門家を紹介してもらえます。
相談先を選ぶときの3つのチェックポイント
どの相談先を選ぶ場合も、以下の3つは必ず確認しましょう。
チェック1:事業承継の実績があるか
税理士や弁護士であっても、事業承継の経験が少ない場合があります。過去の実績や得意分野を事前に確認することが大切です。
チェック2:費用体系が明確か
「後から高額な請求が来た」というトラブルを防ぐために、相談料・着手金・成功報酬などの費用体系を最初に確認しましょう。特にM&A仲介会社は報酬体系が複雑な場合があるため、書面で確認することをおすすめします。
チェック3:セカンドオピニオンを取る
事業承継は会社の将来を左右する重大な判断です。1つの相談先だけで決めず、複数の専門家の意見を聞いてから判断することをおすすめします。公的機関での無料相談を活用すれば、費用をかけずにセカンドオピニオンを得られます。
相談先の費用と得意分野を比較
7つの相談先を、費用目安と得意分野で比較しました。
| 相談先 | 費用目安 | 得意分野 | こんな悩みに |
|---|---|---|---|
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 無料 | 全般(窓口的役割) | 何から始めればいいかわからない |
| 顧問税理士・公認会計士 | 顧問料内〜別途 | 税金・株価・財務 | 相続税・贈与税が心配 |
| 弁護士 | 相談1万円/時〜 | 法務・契約・紛争 | 親族間トラブルの予防 |
| M&A仲介会社 | 成功報酬型 | 売却・買収マッチング | 会社を第三者に売りたい |
| 商工会議所・商工会 | 無料〜低額 | 経営全般・補助金 | まずは気軽に相談したい |
| 金融機関 | 無料(取引先) | 資金調達・事業評価 | 融資や資金面の相談 |
| 経営コンサルティング | 月額数万〜数十万円 | 経営戦略・組織改革 | 承継後の経営改善も含めて |
よくある質問
Q. 事業承継の相談は何年前から始めるべき?
理想的には5年〜10年前から準備を始めるのが望ましいです。早すぎることはありません。まずは事業承継・引継ぎ支援センターや商工会議所に気軽に相談してみましょう。
Q. 相談先は1つに絞るべき?
いいえ。事業承継は税務・法務・経営・マッチングと多岐にわたるため、複数の専門家を組み合わせるのが一般的です。まず公的機関に相談して全体像をつかみ、必要に応じて専門家を紹介してもらう流れがスムーズです。
Q. 相談費用をなるべく抑えるには?
まず無料の相談窓口(事業承継・引継ぎ支援センター、商工会議所)を活用しましょう。また、事業承継補助金を活用すれば、専門家費用の一部が補助される場合もあります。
まとめ
この記事では、事業承継の相談先7つの特徴と選び方を解説しました。
ポイントをおさらいすると:
- 何から始めるかわからないなら、まず事業承継・引継ぎ支援センター(無料)
- 税金・株価の問題は顧問税理士、法的トラブルは弁護士が専門
- M&A(第三者への売却)を検討するならM&A仲介会社
- 相談先は1つに絞らず、複数に意見を聞くのが成功のコツ
事業承継は準備を始めてから完了するまでに、3年〜10年かかることも珍しくありません。「まだ早い」と思っているうちに始めるのがちょうどよいタイミングです。
まずは無料の相談窓口に足を運んで、自社の状況を整理するところから始めてみてください。
📖 あわせて読みたい
- 事業承継とは?3つの方法をわかりやすく解説
- 事業承継の進め方がわかる!基本の5ステップを解説
- 後継者がいないときの4つの選択肢
- 事業承継税制とは?特例措置の仕組み・要件・期限をわかりやすく解説
- M&Aマッチングサイトおすすめ7選
- 事業承継のスケジュール
- 廃業と事業承継の比較
- 従業員への事業承継の伝え方
- 事業承継税制の特例措置と一般措置の違い
事業承継の税務相談なら
事業承継では、税理士選びが成功のカギを握ります。相続税・贈与税の対策、事業承継税制の活用、M&Aの税務デューデリジェンスなど、専門的な知識が必要な場面が多くあります。
「どの税理士に相談すればいいかわからない…」そんな方には、無料で最適な税理士を紹介してもらえるサービスがおすすめです。